会社設立の事前準備 10 公告方法を決める
公告とは、公に告知することを指し、会社の計算書類や組織編制などの情報を公開して、世間に知らせることをいいます。
公告によって会社の重要事項を、株主や債権者に周知させ、取引の安全を確保することを目的としているのです。
公告には2種類あり、貸借対照表等の会社の決算に関する「決算公告」と、会社の合併や資本金の減少などの、会社の重要事項に関する「法定公告」とがあります。
会社法上、株式会社は公告することが義務付けられており、これに違反すると100万円以下の過料が課されます。
公告には、3つの方法が定められており、会社設立時にそのいずれかを選択して、定款の中に記載することができます。(任意的記載事項)
定款に定めていない場合は、自動的に「官報」がその会社の広告方法となります。
また公告方法は登記事項であるため、登記簿に会社の公告方法が記載されます。
公告の3つの方法
官報公告
官報とは、国が発行する機関誌のことです。
独立行政法人・国立印刷局が発行しています。
掲載の費用は、枠のサイズによっても異なりますが、約6万円と比較的安価であるため、一般に多くの中小企業がこの方法を選択しています。
新聞広告
日刊新聞紙に掲載する方法です。
全国紙・地方紙どちらでも可能ですが、多くは日本経済新聞が利用されています。
掲載の費用は、新聞社によっても異なりますが、約50万円以上と高額なため、中小企業ではほとんど利用されていません。
電子公告
インターネット上に掲載する方法です。
自社のウェブサイトに専用のページを設けて公告することができます。
また帝国データバンク等のインターネット広告サービスを利用して公告することも可能です。
自社のウェブサイトで公告する場合は、費用は掛かりませんが、帝国データバンクを利用する場合は、年間約3万円の掲載料がかかります。
電子公告の場合、決算公告を5年間継続して掲載しなければなりません。
電子公告を利用する場合の注意点
定款には、会社のウェブページのURLを記載する必要はありませんが、登記事項であるため、登記簿に掲載するURLが必要となります。
ウェブサイトのアドレスが変わったら、その都度、変更登記をしなければなりません。
また、電子公告を出す場合、法務大臣の登録を受けて、電子公告調査機関の調査を受けることが定められています。
この調査費用は、調査会社によって異なりますが、約10万円〜20万円かかります。
ただし、決算公告についてはこの調査は必要ありません。
ですから決算公告のみを電子公告で行い、他の公告を官報に掲載するなら、公告費用を抑えることが可能です。
さらに、電子公告の場合、だれでも簡単に会社の財務状況を閲覧できてしまうため、注意が必要です。
まとめ
以上、公告の3つの方法から、会社にとって最適な方法を選択できます。
官報であれば、一般の人々が閲覧することはほとんどないため、決算書を公開したくない場合であれば、官報公告を選択できるでしょう。
コストをできるだけ抑えたいのであれば、決算公告のみを電子公告で行い、その他の広告は官報公告を利用するのが良いでしょう。
ただし、電子公告の場合、5年間の公開が義務づけられていますので、注意してください。
尚、合同会社は決算公告義務がありませんので、毎年の広告費用を抑えることができます。
関連ページ
- 1 商号
- 商号は原則自由に決めることができますが、商号にはルールがあります。会社設立にあたって商号を決める際の注意事項と類似商号調査について解説します。会社設立手続きなら大阪府堺市の大ア行政書士事務所へご相談ください。
- 2 事業目的
- 「何をする会社なのか」外部に分かるように定款に記載したものが会社の事業目的となります。会社設立にあたって事業目的を決めるポイントを解説します。会社設立手続きなら大阪府堺市の大ア行政書士事務所へご相談ください。
- 3 本店所在地
- 本店所在地とは会社の本拠地のことで、定款に必ず記載する絶対的記載事項です。会社設立にあたって本店所在地を決めるポイントについて解説します。会社設立手続きなら大阪府堺市の大ア行政書士事務所へご相談ください。
- 4 資本金
- 法律上は1円でも会社を設立できますが、安定した経営のためには一定の額の資本金が必要です。会社設立にあたって資本金の額を決めるポイントを解説します。会社設立手続きなら大阪府堺市の大ア行政書士事務所へご相談ください。
- 5 発起人
- 発起人とは会社の設立を企画して設立までの手続きを行う人のことです。会社をスムーズに運営するために発起人を決めるポイントについて解説します。会社設立手続きなら大阪府堺市の大ア行政書士事務所へご相談ください。
- 6 発行可能株式総数
- 資本金の額が決まれば、次に1株あたりの金額、設立時に発行する株式の数、発行可能な株式の上限を決定します。発行可能株式の決め方について解説します。会社設立手続きなら大阪府堺市の大ア行政書士事務所へご相談ください。
- 7 機関設計
- 株主総会、取締役、取締役会、監査役などの役割を機関といい、その組み合わせを決めることを機関設計といいます。機関設計をするポイントについて解説します。会社設立手続きなら大阪府堺市の大ア行政書士事務所へご相談ください。
- 8 株式譲渡制限
- 株式譲渡制限会社にすると、見ず知らずの第三者が経営に関与することを防止することができます。株式譲渡制限会社にするメリットについて解説します。会社設立手続きなら大阪府堺市の大ア行政書士事務所へご相談ください。
- 9 事業年度
- 事業年度とは会社の会計の区切りをつける期間のことで、事業年度は自由に決めることができます。会社の事業年度を決める3つのポイントを解説します。会社設立手続きなら大阪府堺市の大ア行政書士事務所へご相談ください。
- 定款の作成
- 定款とは会社の憲法とも言える、会社の基本事項を記載したものをいいます。定款に記載すべき事項の3種類について解説します。会社設立手続きなら大阪府堺市の大ア行政書士事務所へご相談へご相談ください。
- 電子定款
- 電子定款を作成することにより、印紙代4万円が不要になるというメリットがあります。作成した定款を電子化し、電子署名し、公証人の認証を受ける方法について解説します。会社設立手続きなら大阪府堺市の大ア行政書士事務所へご相談ください。
- 資本金の払い込み
- 定款の認証後、資本金を払い込み、登記申請の際、払い込みがあったことを証しする書面を添付します。資本金の払い込みの方法について解説します。会社設立手続きなら大阪府堺市の大ア行政書士事務所へご相談ください。