会社設立の事前準備 7 会社の機関設計をする
会社を経営するためには、会社の意思決定や運営・管理などを誰がどのように行なうかを決めなければなりません。
株主総会・代表取締役・取締役・取締役会・監査役・会計参与といった、会社の中で特定の役割を担う人や合議体のことを「機関」といいます。
これらの機関はすべて設置する必要はなく、会社の体制によって部分的に選択することができ、この組み合わせを決めることを「機関設計」といいます。
それぞれの機関の役割については以下の通りです。
それぞれの機関の役割について
株主総会
会社の実質的オーナーである株主で構成される、会社の意思決定機関です。会社の規模に関わらず必ず設置することが必要です。会社の運営や組織など会社の重要事項について決定します。
取締役
会社の業務を執行する機関です。株主総会と同様必ず設置することが必要です。取締役が複数いる場合で代表する者を定めたならその者が会社を代表します。(代表取締役)
取締役会
取締役3名で構成される、会社の業務執行についての意思決定機関です。任意に設置できますが、設置した場合には監査役または会計参与の設置が必要となります。
監査役
会社の会計、取締役の職務執行について監査する機関です。取締役会設置会社は必ず設置することが必要です。
会計参与
取締役と共同して会社の計算書類の作成を行う機関です。任意に設置できます。会計参与になることができるのは、税理士・税理士法人・公認会計士・監査法人に限られます。
他にも会計監査人・監査役会・委員会など大会社が設置する機関がありますが、ここでは省略します。
機関設計のポイント
機関設計のポイントは取締役会を設置するかどうかです。
取締役会を設置した場合、通常の会社の業務執行の意思決定に関する権限は、株主総会ではなく取締役会に与えられます。
複数人で共同経営し、株主と取締役が異なる場合や親族以外の外部株主がいる場合は、取締役会を設置した方が迅速な意思決定ができるというメリットがあります。
また所有と経営が分離した体制をとることで、対外的な信用力がアップすることも利点の一つです。
しかし一人で起業する場合や親族で会社経営をする場合など(同族会社)は、わざわざ取締役会を設置してもあまり意味がありません。
取締役会を設置する場合、3人以上の取締役を選任する必要があり、監査役または会計参与の設置も義務付けられています。
そのため、監査役を含めて最低4人の役員コストがかかることを考えると、できるだけ初期費用を抑えて起業したい人は、取締役会を設置しない機関設計を選択した方がいいでしょう。
会社設立時の機関設計の決め方
取締役 + 株主総会
自分で出資、自分が取締役になるパターン
最もシンプルで手軽に会社を設立するならこのパターンです。
最初から複雑な機関設計を選ぶより、このパターンの方が自由に経営でき、手続き上の負担も少なく、創業時のコストを抑えることができます。
対外的な信用力も大事なことですが、まずは規模に合った機関設計にするのが最善ではないでしょうか。
もちろん機関設計の変更は設立後いつでも可能ですから、将来事業が拡大してから取締役会の設置等、以下のようなパターンを検討することができるでしょう。
取締役 + 株主総会 + 監査役
監査役を設置して監査に力を入れるパターン
取締役 + 株主総会 + 会計参与
会計参与を設置して対外信用力を上げるパターン
取締役会 + 株主総会 + 監査役
外部株主を積極的に取り入れた経営をするパターン